金子眼科
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糖尿病性網膜症
日本人と糖尿病
日本人は元々、米を主食として野菜や魚を食べ、粗食に耐え生き延びてきた民族です。米の不作の年は、飢餓状態でも血糖値を上げることができた人(糖尿病の素因を持った人)が生き延びることができたのです。糖尿病になられた患者様は、ご自身だけが悪いわけではなく、このような民族の歴史があり、遺伝素因を受け継いだからです。遺伝素因に加齢やカロリー摂取の過剰、ストレス、運動不足が加わって糖尿病を発症すると言われています。日本は戦後次第に食生活が欧米化し、現代は、かつてない飽食の時代となりました。肉食により脂肪の摂取量は3倍に増え、それに伴い糖尿病患者も増加しております(厚生労働省統計H10年690万人→H14年740万人)。糖尿病患者の人口に占める割合は、すでに欧米人よりも日本人の方が多いのです。
糖尿病性網膜症とは
糖尿病の合併症の一つで、これまで日本人の失明原因の第1位であるとされてきました。しかし、近年の眼科医療の進歩(レーザー治療、硝子体手術の進歩、糖尿病性黄斑症に対する薬物治療の進歩、血糖コントロール法など)により、順位は改善し中途失明第2位の疾患となりました(最新の視覚障害者 実態調査より)。

網膜の毛細血管が閉塞し、毛細血管に小さなコブ(毛細血管瘤)ができたり、出血やシミ(軟性白)ができてきます。
進行すると、眼内で出血(硝子体出血)を起こす新生血管ができ、出血を繰り返し、眼内にクモの巣の ような線維膜(増殖膜)を形成し、線維膜が縮むことにより牽引網膜剥離を起こし、最終的には失明に いたる可能性があります。
糖尿病性網膜症で失明しないためには
一般的には、糖尿病の罹病期間が長いほど、血糖コントロールが悪いほど糖尿病網膜症を合併しやすくなります。しかし、糖尿病は、いつからなったかハッキリ分かる病気ではありませんし、糖尿病になっていても自覚症状や合併症の出ない時期が何年も続きます。そのため、糖尿病と診断されたとき、すでに糖尿病性網膜症を発症している患者様も多いのです。
糖尿病と診断されたら、目に自覚症状がなくても、まず、眼科で眼底検査を受けましょう。どんなに網膜症が重症化していても、網膜の中心部(黄斑部)に病変(出血やむくみ)が及ばない限り、視力低下はありませんので、「見えているから大丈夫。」という過信はとても危険です。手遅れにならないためにも、くれぐれも早期受診をお勧めします。また、その後の定期的な検診も重要です。

急激な血糖コントロールをした方や低血糖発作を繰り返す方、高血圧の方、喫煙者、若い方から中年の働き盛りの方などは網膜症の発症率が高く、網膜症の悪化のスピードも速い傾向があります。糖尿病の患者様は、眼科での定期診察が必要となりますが、定期診察の間隔は、血糖のコントロール状況や網膜症の状態、年齢、高血圧や腎症の有無などによって異なります。
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糖尿病性網膜症の治療
網膜症の出ている方は、目だけ見て貰って治療していれば治るというわけではありません。血糖のコントロールが基本となります。ヘモグロビンA1Cの値が6.5%以下になって3年経過すれば網膜症の進行は抑えられると言われておりますので、血糖のコントロールが必要です。しかし、網膜症がある方で高血糖を急激にコントロールすると網膜症が進行する危険性がありますので、ゆっくりとヘモグロビンA1Cの値を下げなければなりません。内科医と眼科医の連携が重要となります。網膜症の悪化が見られ、失明の危険性がある場合、糖尿病を専門とする内科医に血糖コントロールをゆだねないとならない場合があります。その場合や糖尿病未治療の患者様などは、糖尿病内科専門医を紹介いたしますのでご相談ください。
 
ある程度進行した網膜症では、血糖のコントロールだけをすれば網膜症が良くなるというわけではありません。網膜症の段階に応じた眼科治療が必要となります。糖尿病性網膜症は、軽症、中等症、重症まで(1)単純網膜症(2)増殖前網膜症(3)増殖網膜症の3つの段階があります。(1)の段階では、毛細血管瘤がみられます。前増殖型への移行がないか定期的に受診していただきます。血糖のコントロールにより改善の見込みのある時期です。(2)以上になると、網膜面にシミや出血が増えます。(3)の段階では新生血管の形成や硝子体出血、増殖膜形成、網膜剥離などが重症度に応じて認められるようになります。網膜の血流の途絶えている領域(無還流領域)の広さを蛍光眼底撮影で調べ治療法を決定します。蛍光眼底撮影は腕の静脈より蛍光色素を注射し、眼底の血管内に循環してきたところを蛍光フィルター付きカメラで撮影する検査です。(症例A,B)眼底血管のさまざまな異常を詳しく見ることができる検査です。無還流領域の広さに応じてレーザー治療を行います。悪い部分のみに限局的に当てる場合と網膜の中心部は避けて全体に当てる汎網膜光凝固術があります。単純網膜症 増殖網膜症
 
当院院長は長年糖尿病網膜症の研究を続けております。レーザー治療に関しても20年以上の経験から、多くの症例を手がけています。当院では蛍光眼底撮影検査とマルチカラーレーザーによる網膜光凝固術までが可能となっております。

(3)の段階では、レーザー治療(汎網膜光凝固術)を行います。硝子体出血や増殖膜を取り除くために硝子体手術が必要な場合があります。硝子体手術を必要とする方は経験豊富な病院を紹介しております。
増殖網膜症の当院症例
物を見るのに一番大切な網膜の中心部(黄斑部)に、病変が及んだものを言います。黄斑部に毛細血管瘤や硬性白斑、浮腫(むくみ)が出現します。
糖尿病黄斑浮腫
糖尿病性網膜症を防ぐには血糖値のコントロールが必要ですが、コントロール不良な糖尿病患者に対し、急激に強力な血糖コントロールを行うことにより、糖尿病黄斑症が急激に悪化し、数週間のうちに急激に視力が低下するケースがあります。
下記の病気がある方
また、黄斑症の伴っている例や腎症を有する場合の汎網膜光凝固では黄斑浮腫が出現する可能性があるため、慎重に行う必要があります。治療法としては、浮腫の原因となっている毛細血管瘤の一つ一つを、小スポット低出力でレーザー治療、トリアムシノロンの投与などを行います。それでも改善がみられない場合、他に硝子体手術を紹介しております。また、新たな薬としてベバシズマブ(国内未承認薬)による治療も報告されております。
腎症により網膜が広汎に浮腫状態となっている例では早期に透析導入することによって網膜症の改善がみられることがあります。
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